新しい形のmaster visa

定期・懸賞金付き定期預金の登場流動性預金の金利が自由化された1994年10月17日、兵庫に地盤をおく銀行が新しい商品の取扱いを始めた。 名づけて「Ich定期」。
プロ野球のIch選手の最終打率を5年物スーパー定期預金の利率に適用する、というものである。 これに続いて同年2月、東京の信用金庫が定期預金の新商品の取扱いを開始し、爆発的な人気を得た。
いわゆる「懸賞金付き定期預金」の登場である。 懸賞付きの定期預金は過去にもなかったわけではないが、その懸賞の景品が現金であるということでがぜん注目を集めた。
厳密にいえば、懸賞金は金利ではないので、金利が自由化されなくても取り扱うことは可能であった。 しかし自由化がこの定期の発売とまったく無縁であったとはいえないであろう。
その後この預金はさまざまな議論を呼び起こし、ついには「預金を考える懇談会(預金懇)」が発足する契機とまでなった。 賛否両論が渦巻くなか、この懸賞金付き定期預金には利用希望者が殺到し、同種の商品の取扱いを開始する金融機関が相次いだ。

同時に、Ich定期預金のように第三者を金利決定要因とする定期預金の取扱いも全国各地で広がった。 預金金利の完全自由化から半年あまりで定期預金の商品種類は急速に増加し、利用者にとって選択の幅が広がった。
「預金懇」の報告書は、「金融機関の自己責任原則に基づく創意工夫で、一層の商品多様化が行われることを期待」し、新しい預金の発売に際して金融機関から行政当局に行う事前の「届出」についても廃止を検討するべきだ、としている。 金利の完全自由化以前にも、例えば第一勧銀の「ハートの通貨オプション付きスーパー定期(満期日の為替相場について円高か円安かを予想し、為替差益を得るもの)」などのような複合型定期預金商品はあった。
今後、金融機関には、自由になった金利設定、商品設計といったメリットをフルに活かしてデリバティブ(金融派生商品)の組合せなど工夫を凝らした新商品の開発を期待したいものである。

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